以前の私は、疲れていても「これくらいで休んではいけない」と思っていました。夕方に体が重く感じても、夕食の支度や片づけを先に終わらせようとして、気づけばソファに座る余裕もないまま一日が終わる。休むことは、やるべきことを後回しにするようで、どこか後ろめたかったのです。
50代になってからは、同じように動こうとすると、翌日まで疲れを引きずることが増えました。以前なら一晩眠れば気にならなかったことも、無理を重ねたあとには気持ちまでせわしなくなる。そこで少しずつ、「がんばらない日」を自分で選ぶようになりました。
何もしない一日を作るというより、いつもの暮らしの途中で立ち止まること。私にとっては、横になること、温かいお茶をいれること、入浴剤を入れたお風呂に入ることが、その日の終わりを急がせない小さな合図になっています。
ある夕方、横になることを後回しにしなかった
ある日、用事を済ませて帰ると、いつもより足が重く感じました。それでも、帰宅したらすぐ夕食の準備をしようとして、冷蔵庫を開けかけたところで手を止めました。「先に少し座ろう」と思ったのです。
ブランケットをかけてソファに横になり、目を閉じました。時計を見ながら休むのではなく、外が少し暗くなるまで、そのまま体を預けていました。起きたあとにすべてが片づいたわけではありませんが、さっきまでのように気持ちだけが急いでいませんでした。
その日をきっかけに、疲れを感じたときは、用事を始める前に自分の様子を見るようになりました。休むことを先に選んでも、暮らしが止まるわけではない。むしろ、あとから動くときの気持ちが少し落ち着くことに気づきました。

「まだできる」より、「今は休みたい」を先に聞く日があってもいいと思えるようになりました。
横になって、休むことを許す
以前は、横になるなら家事を全部終えてから、と決めていました。けれど、終わるころには疲れすぎていて、テレビをつけても内容が頭に入らないことがありました。
今は、疲れを感じたら、洗濯物をたたむ前でも横になります。眠らなくても、背中をソファにつけて足を伸ばすだけで十分な日もあります。スマホを見始めると、気持ちが休まらないので、手の届かないところに置いて、ブランケットを一枚かけることが多いです。
短い休憩のあと、夕食を簡単なものにしたり、片づけを翌朝に回したりすることもあります。以前は「手を抜いた」と感じていたことが、今は自分の体力に合わせて順番を変えただけ、と受け止められるようになりました。
お茶をいれて、自分をねぎらう
休んだあとに台所へ立つときは、まず自分のためにお茶をいれます。以前は、喉が渇いてもコーヒーを急いで飲んだり、冷たい飲み物を一口で済ませたりしていました。飲み物まで「ついで」にしていたのだと思います。
今は、湯気の立つお茶をマグカップに注ぎ、テーブルに座ってから飲みます。香りを感じるほどゆっくりできない日もありますが、両手でカップを持つと、それだけで「今日はここまでよく動いた」と自分に言える気がします。
ある夕方、冷蔵庫の残り物で簡単に済ませようと決めたあと、お茶をいれて窓の外を眺めました。いつもなら献立が十分でないことを気にしていたのに、その日は温かい一杯があるだけで、少し気持ちがほどけました。食事も家事も、毎回同じように整っていなくてよいのだと思えた時間です。
入浴剤を入れて、夜を切り替える
疲れている日は、お風呂の準備さえ面倒に感じて、シャワーだけで済ませることもありました。もちろんそれでよい日もあります。ただ、気持ちまで張りつめたまま眠りそうな日は、湯船にお湯をためて入浴剤を一つ入れるようにしています。
好きな香りが広がると、いつものお風呂が少し違う時間になります。ぬるめのお湯につかりながら、その日にあったことを反省するのではなく、「今日は疲れていたな」と自分に声をかけるようにしています。長く入ることが目的ではなく、体と気持ちの切り替えをつくる時間です。
お風呂から出たあとは、残った家事を全部片づけようとせず、翌朝でよいものはそのままにします。以前は、夜にすべて終えないと落ち着かなかったのですが、今は眠る前の自分を静かにすることも大切な用事だと感じています。

入浴剤は、がんばった日のごほうびというより、今日はもう急がないための合図です。
がんばらない日を、自分で選ぶ
今でも、疲れているのに予定を詰め込みたくなる日はあります。それでも、横になる、お茶をいれる、お風呂に入る。このうち一つでも選べたら、その日は自分の声を少し聞けたと思うようになりました。
以前は、何かを終えた量で一日を見ていました。今は、無理を重ねずに一日を閉じられたかも大切にしています。がんばらない日は、何もしなかった日ではなく、そのときの自分に合う速さで過ごした日。そんなふうに考えられるようになってから、休むことへの後ろめたさが少しずつ減りました。
明日も同じように元気に動けるとは限らないからこそ、疲れた日くらいは、自分を急かさない。これからも、小さな休み方を選びながら、私のペースで暮らしていきたいと思います。
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