50代になってから、朝の始まり方でその日の気分がずいぶん変わるようになりました。
以前の私は、目が覚めてもすぐには動けず、布団の中でスマホを見たり、頭の中で家事や予定を数えたりしていました。起き上がる前から「今日は何からしよう」と気持ちが急いでいて、朝食の支度を始めるころには、もう少し疲れたように感じることもありました。
きちんとした朝のルーティンを作ろうとしたこともあります。でも、早起きや運動などを一度に増やすと、続かなかった日に自分を責めてしまう。そこで今は、朝を立派に過ごすことよりも、寝起きの自分を急がせない小さな習慣を大切にしています。
ある朝、気持ちが置いていかれていると気づいた
ある朝、目覚めてすぐに台所へ行き、洗い物や献立のことを考えながら慌ただしく動いていました。ふと窓の方を見ると、カーテンは閉じたまま。部屋は薄暗く、自分の気持ちだけが先に走っているようでした。
そのとき、いったん手を止めてカーテンを開け、湯気の立つマグカップを両手で持ちました。ベランダの窓を少し開けると、朝の空気が入ってきて、さっきまで頭の中を占めていた「やらなければ」が少し遠のいた気がしたのです。
特別な出来事ではありません。でも、それ以来、朝は何かを始める前に、自分の感覚を置いていかない時間を少し作るようになりました。毎日同じようにはできなくても、四つの習慣のどれか一つができるだけで、以前より落ち着いて一日を始めやすくなっています。

朝は、何かを足すより、急いでいる気持ちに気づくことから始めるようになりました。
カーテンを開けて、朝の光を入れる
以前は、着替えや朝食の準備が先で、カーテンを開けるのはそのあとでした。曇りの日には、昼近くまで部屋がなんとなく暗いままということもありました。
今は、起き上がったらまずカーテンを開けます。光が入ると、散らかった部屋でも少し輪郭がはっきりして、「朝になった」と気持ちが切り替わりやすくなりました。晴れた日だけでなく、やわらかい曇り空の日にも、窓の外を一度見ることが私なりの合図です。
窓辺に立って外を眺める時間はほんの少し。それでも、寝起きのぼんやりした気分から、今いる場所へ戻ってくるように感じます。
白湯をゆっくり飲む
朝は、家族のことや家事が気になって、飲み物を後回しにしてしまうことがありました。気づけば朝食を済ませてから慌てて飲む、という日もありました。
そこで、カーテンを開けたあとにお湯を沸かし、白湯を一杯だけ用意するようにしました。お気に入りのマグカップに注いで、熱すぎないことを確かめながら少しずつ飲みます。冷めるまでの短い時間は、すぐ次の用事に移らなくていい時間です。
白湯そのものに特別なことを求めているわけではありません。ただ、手のひらにカップの温かさを感じながら座ると、朝の慌ただしさに飲まれにくくなりました。何も考えられない朝は、まず一口飲むだけにしています。
ベランダで3分だけ深呼吸する
以前は、外に出るのはゴミ出しか洗濯物を干すときだけでした。用事を済ませたらすぐ部屋に戻るので、朝から肩に力が入っていることにも気づきにくかったと思います。
今は、天気や体調がよい日に、ベランダで少しだけ立ち止まります。洗濯物を干したあとでも、何も持たずに出る日でもかまいません。空を見て、息をゆっくり吐く。三分きっちり測ることはなく、風や外の音を感じたところで部屋に戻ります。
ある日、鳥の声を聞きながら深呼吸していたら、前の晩から気になっていたことが少し小さく思えました。問題がなくなったわけではないけれど、考える順番を急がなくてもよいと思えたのです。外の空気に触れるだけで、家の中で固くなっていた気持ちがゆるむ朝があります。

ベランダに出られない朝は、窓を少し開けるだけの日もあります。
書くことで、頭の中を軽くする
朝から考えごとが多い日は、洗い物をしながらも別の予定を思い出し、ひとつ終わっても気持ちが休まりませんでした。忘れないようにと思うほど、頭の中に用事が増えていくようでした。
今は、白湯を飲んだあとや、朝食の前後に小さなノートを開くことがあります。書くのは長い日記ではなく、「今日やりたいことを一つ」「気になっていることを一つ」「昨日うれしかったことを一つ」くらいです。何も浮かばない日は、日付だけ書いて閉じることもあります。
ある朝は、気が重かった用事を一行だけ書きました。文字にしてみると、頭の中で何度も繰り返していたときよりも、次にすることが見えやすくなりました。書けば気持ちが整うというより、考えを抱えたまま動き出さなくてよくなる。その感覚が、私には合っていました。
四つ全部できなくても、朝は始められる
今でも、時間がない朝や、気分が乗らない朝はあります。そんな日はカーテンだけ、あるいは白湯を一口だけで終わることもあります。四つを毎日こなすことを目標にすると、また朝が「やること」の一覧になってしまうからです。
以前は、朝から何かを片づけなければ一日が始まらないと思っていました。今は、光を見る、温かいものを飲む、外の空気を吸う、少し書く。そのどれかで自分の気持ちを確かめてから動くほうが、結果的に一日の始まりを穏やかに感じられます。
朝の時間を大きく変えなくても、自分を急がせない小さなきっかけは作れるのだと、続けながら気づきました。これからも、その日の自分にできることを一つ選びながら、朝を始めていきたいと思います。
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